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空港に着くやバキュームカーがやって来て、内容物だけを抜き取る方式に変わり、スチュワーデスは汚物処理から解放されたのである。
日本製ターボプロップ旅客機、六〇人乗りの日本航空機製造YSΛ11も、タンク内蔵のバキュームカー方式だった。
キャビンの差圧を利用して強制的にちなみに、手洗いの水や飲料水は、循環式ではなく、別系統で供給されている。
最近では、B767から装備がはじまったバキューム式が普及している。
これは、少量の水で水洗し、ボールに溜まったと同時に、キャビンの差圧と、別に設けられた真空ポンプを利用して、汚物と水を一気にタンクに吸い込む方式だ。
クラス別ラバトリーの数キャビンのラバトリー、つまりトイレの数が問題になったのは、三〇〇人以上、五〇〇人も乗れるワイドボディージェット旅客機が誕生するときだった。
トイレの数や大きさ(容量)は、乗客の排泄量と使用頻度から科学的に割り出されている。
統計によると、乗客一人あたりの排泄量は一時間あたり〇・一リットル。
使用頻度は、当然長距離ルートになるほど高くなる。
これらを勘案して、トイレーか所あたりの乗客数を割り出す。
その結果、一か所あたり、長距離では三〇から四〇人、中距離では四〇から五〇人、短距離ルートでは五〇から六〇人になるように、座席数に対応してトイレの数を決めている。
化粧室機能のほうはほとんど考慮されておらず、基本的にトイレット機能の要求からのみ、ラバトリーの数々配置が決められているのだ。
ただしエアラインの希望によって、数や配置は変えることができ、たとえばB747では、最大一九か所まで設置できるとされている。
標準的なラバトリーの数は、YS_I―Iタラスで一か所、B737クラスで三か所、B707、DC18クラスで五か所、DC−10、A300クラスで七か所、ジャンボで10〜コニか所といわれる。
しかし最近では、比較的多めに配置するエアラインが多いようだ。
国内線JALグループJASの一六六席MDI90では、前方一か所、最後尾に二か所の計三か所。
二(三席のMD−81では、最後尾に二か所。
エアバスA3001600R二九二席仕様では、最前方に二か所、最後尾に四か所の計六か所。
なお最近では女性専用のラバトリー(フローラルルーム)があって、MDで一か所、A300で二か所だ。
全日空の国際線B7471400、最新レイアウトのロンドン線、ニューヨーク線を飛ぶ四クラス三二三席配置の、ラバトリーの数と位置は、ニューファーストクラスの後方左右ひとつずつで二か所、ビジネスCLUBANAの後ろに二か所、プレミアムーエコノミーとエコノミーの間に四か所、エコノミー最後尾に四か所、アッパーデッキのビジネス前方に二か所、合計一四か所になっている。
ロサンゼルス、サンフランシスコへ飛ぶ、三クラス二三三席の長距離型B777−200ERでは、ファーストとビジネスの間に左右二か所ずつ計四か所、エコノミーの中間あたり仁二か所、エコノミーの最後尾に三か所の、計一〇か所だ。
最近ではラバトリーにいろいろ配慮がなされており、この全日空のB747では、ロワーデッキの六か所がオムツ交換台付き、一か所が車椅子のまま利用できるラバトリーだ。
B777では、三か所がオムツ交換台付き、一か所が車椅子で使えるラバトリーになっている。
世界に誇る日本のトイレ技術戦前・戦後の大型飛行艇や四発プロペラ機は、現代のジェット旅客機と比べて乗客数が少なかったことから、ラバトリーのスペースも比較的ゆったりと取ることができた。
そのためドレッシングールーム、パウダー・ルームの機能まで持たせることが可能で、くつろげる空間になっていた。
しかし現代の大型旅客機では、ラバトリ・コンパクトに凝縮する技術が要求される。
この場合、やはり日本の技術力が世界をリードすることになる。
代表的専門メーカーは潟Wャムコで、同社は日本のトイレットを世界のエアラインに売っている。
ギャレー同様、「世界のJAMCO」なのだ。
まさに、「日本のトイレ、世界へ」だが、とはいっても、もちろん和式を輸出しているわけではない。
飛行機のトイレットは、日本でも戦前から、国産機を含めて洋式だった。
JAMCOのラバトリー・デザインのコンセプトは、キャビンの延長として化粧室を捉えるもので、「化粧室で過ごすひとときも大切な旅のアクセント。
いかに快適でよい印象を与えるか、いかにくつろいで頂けるか、製作者のトータルな技量が問われるところです。
化粧室(ラバトリー)の内装は、JAMCOがギャレーと並んで力を注いできた分野」とメッセージしている。
JAMCOはアメリカ、オランダ、シンガポールに、ラバトリーの子会社を持ち、世界のカスタマーをサポートしている。
ボーイング(旧マクダネルダグラスを含む)の、B717、B747、B767、B777、MDl11、MDI80/90シリーズには、ラバトリーを独占供給、現在、世界で生産される旅客機の約五〇パーセントのシェアを誇っている。
ギャレーの項で書いたように、二〇〇三年四月ボーイング社から、ボーイングーサプライヤー・オブーザーイヤー賞を贈られている。
ところで、ラバトリー内では、キャビンが全席禁煙になる前から禁煙だった。
というのも、ここは機内での火災事故のうち、最も多い出火場所だったからだ。
特に屑物入れからの出火が多かったことから、屑物入れには自動消火器が装備されている。
まだラバトリーで隠れて煙草を吸うスモーカーが、ときどきいるようだが、ラバトリーには煙検知器が装備されている。
検知器が作動した場合、出発空港への引き返しや、近くの空港への緊急着陸という事態にもなる。
スモーカー諸君、完全禁煙を守ろう。
筆者はその存在を知らなかったのだけれど、火を使わない喫煙器具(デジタルライター内蔵)というのも、機内では使用できないそうだ。
ちなみにラバトリーの煙検知器(スモークーデテクター)も、JAMCOが作っている。
本格バーを備えたヴァージンーアトランティツク最近ではキャビンのサービス設備が多種多彩になっている。
リラックスして過ごすのも、ビジネスワークを続けるのも、乗客の好みのままだ。
リラックスしたいときや、気分転換したいときは、バーコーナーが人気。
スモーキングは禁止だが、ドリンキングはいつでもOKだ。
ファーストやビジネスでは、搭乗と同時に、ウェルカムードリンクのシャンパンで迎えられる。
これで、まず非日常を感じさせられる。
ああ旅に出たんだ、と実感できるわけだ。
その後も食事のときはもちろん、好きな時間にバーコーナーで飲めるのがうれしい。
高度一万メートルの与圧されたキャビンでは、乾燥が味を変えるし、味覚も少々変わるから、ビンテージのワインだって本当の味は分からない。
ただ、ここは非日常空間。
空で飲むアルコールには、それなりの味わいがある。
ヴァージンーアトランティック航空では、バーコーナーではなく、バ上フウンジを備えている。
スタイリッシュなバーカウンターに、コーポレートーカラーであるヴァージンーレッドのレザー張りスツールがレイアウトされた本格バーだ。
ここで食事もできるというサービスぶりである。
アイディアマンの風雲児、リチャードーブランソン卿に率いられたヴァージンは、次々と空の旅に革命を起こしている。
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